Toradex活用、テレメトリーユニット開発(特別編・お客様の声)
Special Interview
研究開発業務の
協働パートナーとして
モータースポーツの
新たな価値創造に貢献
日本サーキットでは、株式会社M-TEC(無限)様よりテレメトリーユニットの開発を受託しています。
2019年から開発車両向け、2022年からはSUPER FORMULA向けの開発・運用を実施しており、
SUPER FORMULAについてはSFgo(※)への連携・運用・監視も担当。
2022年からは電動バイクプロジェクトにも参画しています。
(※)SFgo:2022シーズンからサービス提供が開始されたスーパーフォーミュラ公式アプリケーション。
オンボード映像とテレメトリー情報を元に、スマートフォンなどのモバイル端末からレース映像や様々な情報が楽しめる。
弊社サービスの概要
- テレメトリーシステムの開発・運用
- テレメトリーシステムのアプリへの連携・運用・監視
- EV車両の制御系システムおよびバッテリー管理システムの開発
お話を伺った方
株式会社M-TEC(無限) 執行役員 モータースポーツ事業部
桜井部長
弊社とお取引き開始について、その経緯をお聞かせください。
日本サーキットを知ったのは、ある開発車両のテレメトリーシステムを開発するために、新たなSoMの採用を検討していたのがきっかけです。
展示会での内容や対応、Webサイトや公開されている各種ドキュメントなどをチェックした結果、Toradex製のSoMなら大丈夫だろうという確信を得ました。
Toradex社に連絡を取り数社ほどディストリビューターを紹介していただきました。その中の1社に日本サーキットが入っていたのです。
ディストリビューター選定にあたり、各社にまったく同じ内容で企画提案や見積等を打診したのですが、日本サーキットから届いた設計方針や見積などのドキュメント類が他社を圧倒していました。
ドキュメントのクオリティと価格のバランスが一番良く、この会社なら安心して頼めると感じました。
※SoM:System on Moduleの略。CPU、メモリ、電源、通信、OS、デバイスドライバーなど、コンピューティングの基本機能を一つのモジュールにまとめたもの。
※Toradex:2003年にスイスで設立された組み込みコンピューティング・ソリューションの専門メーカー。日本サーキットはその正規販売代理店です。
御社の開発業務において、弊社はどのような役割を果たしていますか?
日本サーキットとの付き合いはSoMの調達先として始まりましたが、期待以上のパフォーマンスを発揮していただきました。
そこで弊社開発そのものに、日本サーキットの開発リソースを提供という形でも協力してもらえないかと打診したんです。
当初は研究開発のプロトタイプからのスタートでしたが、2023年のSFgo正式ローンチに向けて、2022年から試験運用を行っていたテレメトリーの活用範囲が、そのデータ送信からオンボード映像配信にまで広がっていたためで、ある程度の工数をM-TECのために確保してもらって、その中で柔軟に開発業務を請け負っていただきました。
- スーパーフォーミュラに搭載のテレメトリーユニット
- 『SFgo』画像引用元:SFgoとは|SUPER FORMULA 公式WEBサイト
2023シーズン開幕にあたり、レース現場でもシステムを十分に理解している担当者が必要だと考えるようになりました。
SFgoに組み込まれているテレメトリーシステムを最もよく理解しているのは日本サーキットの皆さんですから、「レースの現場にも来てもらえませんか」とお声がけさせていただいたんです。
テレメトリーデバイスを時速300キロメートルで走るレーシングカーに載せるわけですから、実際に現場で何が起きているのか、どんなことに困っているのか、肌感覚で知ってもらいたかったのです。
SFgoの運用には多数の関係社・スタッフが携わっており、日本サーキットもその一員となりチームが出来上がっています。
レース開催期間中は、お互い手を伸ばせば届くぐらいの距離でSFgoに取り組んでいますから、状況把握も問題解決も非常に早くなっていますし、私たちも安心して本来の業務に取り組めています。
- 「全日本スーパーフォーミュラ選手権 第8戦 鈴鹿サーキット(2023年10月28日) 」
- SFgoチームルーム内での弊社社員による運用監視の様子
弊社に業務委託するメリットについてお聞かせください。
日本サーキットは、私たちの開発手法や案件、要望などに寄り添って、臨機応変に対応してくれるのでとても助かっています。「開発業務の委託先」というよりも、一緒に研究開発をしていく仲間というイメージですね。
現在はテレメトリーシステム以外の開発にも協力してもらっているため、弊社の社内リソースの効率的な分散に高い効果を発揮してくれています。
特筆すべきなのは、弊社の現在の調達先の中ではドキュメントのクオリティが抜群に良いことですね。
この評価は最初の「SoMの調達先」選定から、全く変わってないんですよ。
案件や日本サーキット側の担当者が異なっても知見がスムーズに引継ぎされているのは、ドキュメントがきちんと『管理』されているからだと思います。
今後、弊社に期待されていることについてお聞かせください。
SFgoの基本的な考え方は、「見たい車両やチームの映像・音声を、オンボード映像に限らず、さまざまな視点から見えるようにすることで、レース観戦という文化に新たな価値をもたらしたい」ということです。
そのためには、現在のLTE(一部5G)回線を使ったテレメトリーシステムについても、通信技術の発展と共に改善を重ねながら、ユーザーの要求に応えていく必要があります。 いまやレース業界には欠かせないテレメトリーシステムの開発とそのサポート業務に、これからも日本サーキットと一緒に展開できればと考えています。
レース車両のテレメトリー以外の領域についても、例えばEVバイクの制御システムやバッテリーマネジメントシステムの開発などをお願いしているんですよ。
こちらも期待にたがわず技術提供・ドキュメントとも、クオリティの高いものを提供いただいており担当者も喜んでいます。
個人的な本音をいえば、日本サーキットを他社さんに取られてしまわない様に外部に紹介したくないくらい、良い会社だと思っています。
これからも単なる委託先の1社ではなく、研究開発を共同で行うパートナーとしてお付き合いいただきたいですね。
お客様紹介
株式会社M-TEC(無限)様
「無限」ブランドによる事業を展開し、モータースポーツ用エンジン、シャーシ、パーツの設計・開発・製作・組立・販売を行っているほか、ホンダ4輪車/2輪車用のチューニングパーツやアクセサリーを開発・製作・販売。
スーパーフォーミュラ、SUPER GTなどのレースに参戦して好成績を上げ、ホンダ系チームにもエンジン等を供給しています。